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家族のきずなの両義性(大江健三郎)

今週のお題「おとうさん」

こんばんは。就活がしんどいナカノでございます。

大江健三郎の講演集「あいまいな日本の私」より「『家族のきずな』の両義性」の紹介をしようと思います。いろいろな公演がまとめられている本書ですが、私の勉強不足もあり、わからないものも多々ありました。その中でもある程度は理解した(つもりの)講演であるこれの要点をまとめたいと思います。

 

・家族はモデルである。そのモデルとは、ある個人が社会の中でどう生きていくというかという場合の社会的人間としての自覚を持つためのモデルのことである。あるいは、同じような意味においての国家的人間、世界的人間としての生き方のモデルともいえる。

・そのうえで、筆者の個人的な体験(障害を持つ子供がいらっしゃること)、親と子供にはいやおうなしに上位と下位の関係があることを自覚し、次のように考えた。家庭で親が子供を保護し愛するという良い関係が成立することもある。反対に親が圧制者となって子供を迫害、することもありうる。このことが家族には両義的な関係があると認められることである。

・親と子が上下の関係を結ぶとき、それを解決するには力によってでしかできなく(老いた親を子供がいたぶる等)、それは不健全であるように思える。

・その対案は親と子が対等な関係を結ぶことである。ここでいう対等な関係とは、親と子が同じベクトルを向いているということである。例えば、宗教を信じている家族なら、親子ともに神を信仰することがそれにあたる。信仰がない家庭は別のもの、例えば民主主義を立てればよい。

・その立てたものを親子ともにまなび、ともに悩み乗り越える事で対等な親子関係が結べると考えられる。

 

あいまいな日本の私 (岩波新書)

あいまいな日本の私 (岩波新書)